フランジャー
2012年09月07日
PEARL FLANGER FG-01 - Space harmonic MOD -
☆★商品情報★☆
■ブランド PEARL(パール)
■商 品 名 FLANGER SOUND SPICE series
■品 番 FG-01
■状 態 Space harmonic MOD(オリジナルハイエンドモディファイ品)
★主な仕様★
・電源:DC IN 9V(センターマイナス、バッテリー/アダプター)
・MANUAL/DEPTH/FEEDBACK/SPEED
★メンテナンス概要★
・シャーシを分解し、外部、内部、基盤、接点を洗浄清掃しました。
・ハンダ不良箇所は再ハンダしました。
・オーバーホールを実施し、破損部品は新品へ更新しました。
★カスタム方針★
1.内部基板の劣化部品オーバーホールに伴うハイエンド化
2.各コントロール精度の向上とピッキングニュアンスの従順化
3.宇宙的イメージを連想させるサウンドニュアンスへの昇華
4.電源回路の強化
★モディファイに伴う変更点★
1.オーバーホールの実施
各部詳細な検査を実施、不良箇所は交換、調整を行ないました。
ジャック等は接点の研磨を行ないました。
交換部品数、改良箇所、定数変更、合わせて変更箇所数十箇所におよぶ部品交換を実施しています。
生産年数を考慮して定数変更の実施を行なわない箇所も劣化部品は全て新品へ更新しました。
モディファイ前の段階で不具合が一切無い状態に戻した上で下記調整を行なっています。
2.全キャパシタの再選定による原音に忠実な音質向上の実現
コデンサーを一式更新する際に全キャパシタを再選定しました。
本機は2系統の遅延素子を使用したアナログ回路です。
初期状態の本機は小型ケミコンとフィルムコンデンサー中心の構成です。
ELNA製やYAMATO製など、良質なメーカーの素材が使用されていました。
当時のエフェクターとしてはかなりグレードの高い部品選定であったといえます。
しかしながらケミコンは温度補償無しも含まれ、音色特性も良くありません。
また、上記のフィルムコンデンサーも経年による劣化から性能が低下していました。
機体スペースが狭く、サイズが限られるのでケミコンは時間をかけて選別しました。
限られた機体スペースを最大限まで活かして搭載しています。
メインで使用したケミコンは低雑音電源用の超低ESR品種とオーディオハイグレードです。
超低ESR品種はハイエンドPCでも採用される最上級のグレードを採用しています。
100μFクラスでもフィルムコンデンサーとほぼ同等の周波数特性も有しています。
構成の大部分を占める小容量箇所のキャパシタはMMTとECQ-V、同-B、-M等に更新しました。
1μFはECQ-Vのみを採用しています。
ピッキング後の余韻のニュアンスに艶が加味され大きな広がりを見せます。
高音域に余韻が生まれ、倍音成分のきらめきが得られます。
高域の音色特性が大きく向上し、非常に煌びやかなトーンへ改善しています。
3.各コントロールの精度向上
ピッキングレスポンスにも極めて従順に改善されました。
指先のピッキングニュアンス自体がエフェクターのポットのように強弱に上手く反応します。
きつめにかけて積極的に使用する際もストレス無くご利用頂けます。
ICも低雑音品種の中から再選別し、よりクリアーなコーラス効果を実現しています。
電子部品はすべて同一ロットのものから選別して搭載しています。
各コントロールの精度も大幅に向上し、ヴィンテージ機特有の音色のムラもなくなりました。
「同じセッティングなのに日によって微妙に音が違う」ということもありません。
4.宇宙的イメージを連想させるフランジング効果の実現
本機はフィードバックを搭載した激しいウネリを特徴とする1台です。
フィードバックとスピードの設定次第でかなり幅広いサウンドを作成できます。
今回はよりスペーシーなサウンドテイストを実現する調整を実施しています。
フィードバックの中心帯域を若干低域寄りにシフトし、より激しいウネリを実現しています。
遅延素子のスピード調整もやや速度を高め、かなり高速のモジュレーションを実現しています。
激しいフィードバックはブラックホールのようにウネル圧倒的な発振を作成可能です。
原音を保たないほどスピーカーが発振するレベルまでうねらせることが可能です。
逆にフィードバックを抑えてスピードを上げれば流星群のような高速の煌めきを体感できます。
「艶」が織り成す宇宙的な幻想性と広がりをもつとても心地の良いクリアサウンドは秀逸です。
5.電源回路の強化
遅延素子使用のエフェクターで最も重要なのは電気系統のトラブルを防止することです。
遅延素子の消費量や部品消耗の度合いは一般的なICよりも消耗度が高くなります。
消費量が多い分、長期的に使用していけば必ずトラブルが発生するものです。
またICの動作を滞りなく行なうためにも美しい電源の供給が必要となります。
一般的に市販のエフェクターの電源回路の場合、汎用ケミコンが使用されています。
精度やノイズ特製に劣る汎用ケミコンは電流に「濁り」を生みます。
「濁り」は回路の流れのなかでトラブルの元となり、全体的な音質低下を招きます。
電源回路はスペースを最大限に利用しオーディオグレードと低ESRケミコンにて構成しています。
耐圧も当初は6.7Vと限界ギリギリのラインだったため、入力の2~3倍に向上しています。
この機体スペースでは最も美しい電気の流れと耐久性を発揮できる最強トルクを誇る組合せです。
電源のクリーン化により、ICの動作を安定させ、最大限の性能を引き出せる状態にしています。
通常は安定しない屋外使用時でもより美しいモジュレーションを発揮できるようになりました。
電源環境が安定しないライブなどでのトラブルを未然に防ぎ、長く安定してご利用頂けます。
6.電源LEDの交換
電源LEDを高輝度LEDクリアスカイφ5mmに変更しました。
☆★商品説明★☆
はじめにヴィンテージデバイスにおいてオーバーホール品がいかに優れているか、という点を簡単に説明すると、
・分解時に劣化箇所を修正できるだけでなく、より良い性能を発揮できる改善策がとれる
・付随して、これから発生しうる故障の予防策をとることができる
・工場出荷時のコンデンサーの選定ミスを修正できる
・当時の劣化部品から性能の優れた部品へ新規換装することで音色、寿命あらゆる面で有利になる
・OH実施により音の密度が膨れ、トーン精度が新品同等、あるいはそれ以上にまで改善できる
などの優れた利点を多くもっています。
さらに加えてハイエンドモディファイを実施することにより
・換装部品を高いレベルで選定し、回路設計以上の出音性能を発揮させることができる
・耐圧や温度保障の強化で新品以上の長寿命化を確実に実現できる
・定数変更や回路や機能の増設により機能・利便性ともに大幅な改善が見込める
・生産当時はまだ開発されていなかった新規格の部品換装による基本性能の底上げが可能
といった一般的なオーバーホール以上の効果を確実に実現できます。
エフェクターを高水準な環境で使用したい方はぜひ御覧下さい。
ちなみにモディファイは一般的なオーバーホールとは大きく異なります。
劣化により50%に低下した性能を100%近くに戻すのがオーバーホールです。
MODは10で100%という定義を9で100%、あるいは12で100%と設計を変更しサウンド特性を変更します。
加えて機能の増設を行なうなど、根本的に初期状態とは異なる回路設計に仕上がります。
機体性能と回路設計に忠実な改善を行なうかどうかがオーバーホール品とMOD品の相違点です。
これらは合わせて実施することで飛躍的な性能改善が見込めます。
パールのヴィンテージフランジャーFG-01をモディファイしました。
パールは80年代は総合楽器メーカーとしてエレキデバイスのラインナップも充実していました。
80年代に生産されたエフェクターはメタルブーム最盛期を象徴するペダルを多数発表しています。
サウンドスパイスシリーズは83年6月より発売開始となりました。
本機FG-01は4つのコントロールを搭載したフランジャーです。
アナログ遅延素子を2機搭載し、多彩なモジュレーションを演出します。
FG-01は80年代国産発振系フランジャーとして代表的なモデルです。
その名を知らしめたのはフィードバックによる激しく発振するジェットサウンドです。
歪み系と合わせた激しいウネリはフュージョン系だけでなくメタル系ギタリストにも愛用されました。
MANUALはエフェクトの中心帯域を調整します。
DEPTHはモジュレーションの幅と奥行きを調整します。
左一杯で最も浅く、右に回すほど効果が深くなります。
FEEDBACKではエフェクト音のフィードバック量を調整します。
右に回すほどエフェクト音を再びエフェクト音へ入力するレベルが大きくなります。
左に回すほどエフェクト音を再びエフェクト音へ入力するレベルが小さくなります。
フィードバック量の大小にともなってフランジングの特性が大きく変化します。
本機はフィードバック量がかなり大きく設計されています。
フィードバック量を最大にした時のウネリと増幅レベルに合わせて音色が調整されています。
ウェット音は痩せ気味に感じられますが、これはフィードバックによる発振を考慮しての設計と思われます。
SPEEDでは遅延素子のスピードを調整します。
左一杯で最も遅く、右に回すに従って速度が速くなります。
今回はフランジャーの効果を最大限に昇華させるモディファイを実施しました。
モディファイについての詳しい説明は上記記載事項をご確認下さい。
今回は優秀な回路設計を活かしたまま、さらに音色特性の大幅な向上を狙っています。
当時はまだオーディオグレード品や、小型で音色特性の良いキャパシタが流通していません。
現代の高音質な技術を当時の優秀な回路に搭載することで大幅な音色改善を目指しました。
またフィードバックとスピードの調整を行い、よりスペーシーなサウンドを実現しています。
宇宙的な広がり方を見せる幻想的なモジュレーションサウンドをお楽しみ下さい。
※注意点として、上記のとおり本機はフィードバックレベル最大時に合わせた音色調整を行っています。
フィードバックレベルによってはドライ音に対してウェット音がやや痩せたサウンド傾向です。
このフィードバック効果こそ本機最大の特徴であるため、中域特性を向上させる調整は行っていません。
中域特性のウネリをフランジャーに求めるプレーヤーには全く向かない機種であるといえます。
技術向上に、楽しいひと時に、衝動的に弾きたくなったとき、そんな時にお供としていただければ幸いです。